はっきりと「これがやりたい」と思えるものを自分で把握できているときは良いけれど。いつもそう気持ちよくいられない。
むしろはっきり分かっている時など圧倒的に少ないのかもしれない。
なんとなく、ぼんやりと思っている。
そんな感じがほとんどだ。
にも関わらず焦っている、いや、だからこそなんだかソワソワして心が焦るのだろう。
何かしたいという気持ちが前のめりに肩を入れ込んできて、
僕はここにいるよ!
ここだよここ!
そうやってアピールしてくるものだから、何かあるのかと信じて疑わず最前列を歩かせる。
そしたらどうだ、そいつはそこかしこでアピールを続けるだけで特段新しいことなど始める気配もない。
気持ちは分かった。だけどそれからどうなんだ。
そう聞くと、ウズウズと喉元まで何かが登ってきたような顔をするけれど、結局大きく息を吐いてまたアピールをし始める。
しばらくすると姿を見せなくなる。
疲れてしまったのか飽きてしまったのか、はたまた不貞腐れているのか。
会えなくなると寂しいもので、あいつの言葉を思い出そうとしてみる。
どんな表情をしていただろうか。
また会いたくなってきた。
今度はもっと優しくしてやろう。深くまで話を聞いてみよう。
時間をかけて、じっくりと。
そして久しぶりっと現れる。
あいも変わらずアピールだ。もう少し、もう少し。
何にも変わってないなお前は。何してたんだよ今日の今日まで。
そしてまたお互いプイッと背を向ける。
そんなことを繰り返して時は過ぎる。
1年2年、10年20年。
歳をとりあの日を振り返る。
あんなにも活力に満ちていた自分はどこへ行ったんだ。などと思う。
変わらないんだ。何年経っても、幾つになっても。
あいつにも愛想を尽かされ、とうとう姿を見せなくなっていた。
ただただ呼びかけていたのかもしれない。
なんでもいい!なんでもいいからそこから動き出せ!と。
答えを求めていたのだろう。答えを提示しろと、無理難題を突きつけて、あいつと共に飛び込むチャンスに背を向けた。
それに気づくのはいつだ?
もう遅いのか?
また背を向けるのか。
動き出せ。今すぐだ。
今すぐ何者かになれなんて言っていない。なれもしない。ならなくていい。
そこから動き出すんだ。それだけだ。それから全て始まるんだ。
あいつに提案してやるんだ。きっと乗ってくれる。
やる気だけは人一倍あるから。